外国人従業員の日本語教育、何から始める?無料教材『いろどり 生活の日本語』がおすすめな理由【行政書士×日本語教師が解説】

近年、貴社においても外国人従業員の方々が活躍される場面が増えているのではないでしょうか。多様なスキルや視点を持つ外国人材は、今や多くの企業にとって、事業の成長や活性化に欠かせない大切な存在です。
近年、貴社においても外国人従業員の方々が活躍される場面が増えているのではないでしょうか。多様なスキルや視点を持つ外国人材は、今や多くの企業にとって、事業の成長や活性化に欠かせない大切な存在です。
「業務の指示が、本当に正確に伝わっているだろうか?」
「安全に関する重要な注意喚起、しっかり理解してもらえているか不安…」
「日本人従業員との間で、ちょっとした誤解やすれ違いが多い気がする」
「日本語でのコミュニケーションがネックになって、早期に離職してしまうケースを防ぎたい」
こうしたお悩みは、外国人従業員の方々の日本語能力、特に「働く・生活する上で必要な日本語力」と深く関わっていることが少なくありません。
とはいえ、「従業員に日本語を学んでほしいけれど、何から始めればいいのか分からない」「専門の日本語教師を雇うほどのコストはかけられない」「そもそも、どんな教材を選べば効果的なのだろう?」といった疑問やご負担を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
もし、貴社でもこうした日本語コミュニケーションに関する課題や、日本語教育に関するお悩みをお持ちでしたら、ぜひ知っていただきたい教材があります。
それが、独立行政法人 国際交流基金が開発・提供している、無料のオンライン日本語教材『いろどり 生活の日本語』です。
この記事では、外国人材の受け入れから定着までをサポートさせていただいている行政書士の視点から、なぜこの『いろどり』が企業の日本語教育に最適なのか、その具体的な理由と活用方法について、詳しくご紹介していきます。
コストをかけずに、外国人従業員の「日本で働き、生活するための日本語力」を効果的に伸ばす。その第一歩を踏み出すためのヒントとして、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
『いろどり 生活の日本語』とは?
さて、前述した無料の日本語教材『いろどり 生活の日本語』ですが、「一体どのような教材なの?」と気になっている方もいらっしゃるかと思います。まずは、その基本的な情報から見ていきましょう。
開発元は、信頼の「国際交流基金(The Japan Foundation)」
この『いろどり』を開発・提供しているのは、「独立行政法人 国際交流基金」です。国際交流基金は、海外への日本文化の紹介や、世界各地での日本語教育の推進などを担っている、日本の専門機関です。つまり、『いろどり』は、日本語教育の専門家たちが作成した、信頼性の高い教材であると言えます。
コンセプトは「相互理解」と「生活」のための日本語
『いろどり』が目指しているのは、単に単語や文法を暗記することではありません。日本で生活し、働く外国人の皆さんが、地域住民や職場の同僚といった周囲の人々と「相互理解」を深め、日本での「生活」をより豊かに送るために必要な、基礎的なコミュニケーション力を身につけることです。そのため、非常に実践的な内容となっています。
対象レベルは「入門」から「初級」まで
教材は、日本語のレベルに応じて以下の3段階に分かれています。
- 入門 (A1): 日本語学習が初めての方、基本的な挨拶や自己紹介ができるレベルを目指す方向け。
- 初級1 (A2-1): 身近なトピックについて、簡単な言葉で基本的なコミュニケーションができるレベルを目指す方向け。
- 初級2 (A2-2): 日常生活の様々な場面で、より具体的なやり取りができるレベルを目指す方向け。
これらのレベルは、ヨーロッパで広く使われている言語能力の指標「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」に基づいています。外国人従業員の方の現在の日本語力に合わせて、無理なくスタートできるのが嬉しいポイントです。
教材はウェブサイトから【完全無料】で入手可能!
そして、企業担当者の皆様にとって最も魅力的な点の一つが、この『いろどり』は公式ウェブサイトから、テキスト(PDF形式)と音声(MP3形式)の全てを、誰でも【完全無料】でダウンロードできるということです。初期投資ゼロで、質の高い日本語教材を導入することが可能です。
教材は以下の公式サイトから入手できます。ぜひ一度アクセスして、内容をご確認ください。
- 『いろどり 生活の日本語』公式サイト: https://www.irodori.jpf.go.jp/
なぜ『いろどり』が企業におすすめなのか?5つのメリット
『いろどり 生活の日本語』が、信頼できる機関によって作られた無料のオンライン教材であることはご理解いただけたかと思います。
では次に、この『いろどり』が、なぜ特に「企業の日本語教育」において、これほどおすすめできるのか、その具体的なメリットを5つのポイントに絞ってご紹介します。
メリット1:「~できる!」が増える! 実践的な会話力が身につく
『いろどり』の最大の特長は、各レッスンが「Can-do(~できる)」という具体的な行動目標に基づいて作られている点です。
例えば、
- 「はじめての職場で、スタッフを紹介されたとき、名前や役割などを理解することができる」
- 「職場などに貼ってあるエコ活動に関する張り紙を見て、注意点などを理解することができる」
- 「職場の人などに、最近の仕事の様子などについて簡単に話すことができる」
といった、実際の生活や仕事の場面で「何ができるようになるか」が明確に設定されています。
これにより、単に文法や単語を暗記するのではなく、外国人従業員の方々は「実際に使える日本語コミュニケーション能力」を目的意識を持って効率的に身につけることができます。これは、日々の業務や生活に直結するため、学習のモチベーション維持にも繋がりやすいでしょう。
メリット2:日本の「生活・仕事」に必須の場面を網羅
教材で取り上げられているトピックは、買い物、食事、交通機関の利用といった日常生活はもちろん、役所での手続き、ゴミ出しのルール、近所付き合い、そして職場での基本的なコミュニケーション(挨拶、報告、質問、簡単な指示の理解など)まで、外国人従業員が日本で生活し、働く上で直面する可能性の高い場面が幅広くカバーされています。
教科書的な堅苦しい表現だけでなく、それぞれの場面で実際に使われる自然な日本語表現を学ぶことで、従業員の方々がよりスムーズに日本の生活習慣や職場環境に適応していく助けとなります。
メリット3:無料だから、コストを気にせず始められる!
これは企業にとって非常に大きなメリットです。テキスト(PDF)も、会話練習用の音声(MP3)も、全てウェブサイトから無料でダウンロードできます。
つまり、教材購入のための予算を確保する必要がなく、「まずは試しにやってみよう」と気軽に日本語教育をスタートさせることが可能です。オンライン教材なので、印刷して配布することも、PCやスマートフォン、タブレット等で従業員各自が学習することもでき、柔軟な運用が可能です。
メリット4:多言語サポートで、外国人従業員も安心して学べる
『いろどり』のウェブサイトでは、教材の構成や学習の進め方、文法の解説などが、複数の言語(英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語など20か国語 ※2025年4月現在。対応言語は変更・追加される場合があります)で提供されていることがあります。
これにより、日本語の指示だけでは理解が難しい外国人従業員の方も、自分の母語の助けを借りながら、安心して学習を進めることができます。企業側としても、常に通訳ができる人材を配置する必要がなく、導入のハードルが下がります。
メリット5:レベル別だから、無理なくステップアップできる
「入門」「初級1」「初級2」と、日本語の習熟度に合わせて3つのレベルが用意されているため、従業員一人ひとりの現在の日本語力に合ったところから、無理なく学習を始めることができます。
簡単なレベルから少しずつステップアップしていくことで、外国人従業員は「できることが増えた」という達成感を得やすく、学習意欲を維持しやすくなります。企業としても、従業員のレベルに応じた学習目標を設定したり、グループ分けしたりするなど、計画的に教育を進めやすくなるでしょう。
企業での『いろどり』活用アイデア例
『いろどり 生活の日本語』が、企業の日本語教育において多くのメリットを持つ教材であることは、おわかりいただけたかと思います。
では、次に気になるのは「具体的に、社内でどうやって使えばいいの?」という点ではないでしょうか。専門的な日本語教師がいなくても、工夫次第で『いろどり』を有効活用することは十分可能です。
ここでは、企業内で『いろどり』を活用するための具体的なアイデアをいくつかご紹介します。
活用アイデア1:手軽に始める「社内プチ日本語学習会」
特別な研修体制がなくても、例えば週に1回、30分~1時間程度の「日本語学習会」を開くことから始めてみてはいかがでしょうか。
- 準備するもの: 『いろどり』のテキスト(印刷またはPC・タブレットで表示)、音声データ、スピーカーなど。
- 進行役: 人事担当者の方や、日本語でのコミュニケーションが得意な先輩社員の方などがファシリテーター(進行役)を務めることができます。特別な教授経験は必要ありません。
- 内容例:
- テキストの特定の課を選び、その場面について話し合う。
- 音声を聞いて、真似してみる。
- テキストの会話例を使って、ペアでロールプレイングを行う。
- 学んだ表現を、自社の状況に置き換えて練習してみる。
大切なのは、外国人従業員が気軽に日本語を「使ってみる」機会を定期的に設けることです。『いろどり』はそのための優れた素材を提供してくれます。
活用アイデア2:「自主学習ツール」として紹介・推奨する
集合型の学習会が難しい場合でも、『いろどり』を従業員向けの「自主学習ツール」として紹介し、学習を推奨するだけでも効果が期待できます。
- 方法:
- 『いろどり』の公式サイトと教材のダウンロード方法を従業員に周知する。
- 学習のメリット(業務や生活に役立つこと)を伝える。
- 休憩時間や通勤時間など、隙間時間を活用して学習するよう促す。
- サポート:
- 可能であれば、学習用のタブレット端末を貸与したり、印刷したテキスト類を配布する。
- 簡単な学習目標(例:週に1課進める)を一緒に設定する。
- 定期的に「最近どんなことを覚えましたか?」など、声かけや進捗確認を行う。
活用アイデア3:OJTと効果的に連携させる
『いろどり』で学んだ日本語表現を、実際の仕事の場面で意識的に使う・使ってもらう機会を作ることは、学習効果を高める上で非常に重要です。
- 例:
- 『いろどり』の「職場の日本語」セクションで学んだ報告・連絡・相談のフレーズを、朝礼や終礼、日報などで実際に使ってみるよう促す。
- 上司や同僚が、従業員が学んでいるレベルに合わせて、『いろどり』に出てくる表現を意識的に使って話しかける。
- 業務マニュアルや掲示物などで、『いろどり』で学ぶ語彙や表現を使うように配慮する。
学んだことが「実際に役立つ」と実感できれば、従業員の学習意欲はさらに向上します。
活用アイデア4:日本人従業員との「コミュニケーションの架け橋」として
『いろどり』の内容は、日本人従業員にとっても、外国人従業員がどのような日本語を学び、どのような点で難しさやニーズを感じているかを知るためのヒントになります。
- 例:
- 社内報や掲示板などで、『いろどり』で扱っているトピックや表現を簡単に紹介する。
- 日本人従業員にも『いろどり』のサイトを見てもらい、外国人従業員とのコミュニケーションで使えそうな表現を知ってもらう。
これにより、日本人従業員側からも「〇〇の表現、勉強しているんだね」といった声かけがしやすくなり、相互理解が深まり、より円滑なコミュニケーションや教え合いの文化が生まれるきっかけになるかもしれません。
行政書士として『いろどり』を推奨する理由
さて、ここまで『いろどり 生活の日本語』の具体的なメリットや、企業での活用アイデアをご紹介してきました。
もしかすると、「無料で使いやすい教材なのはよく分かったけれど、なぜ“行政書士”が、そこまで日本語教材の活用を勧めるのだろう?」と少し不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、行政書士の主な業務は、外国人の方々の在留資格(ビザ)に関する申請書類の作成や、入国管理局への申請取次といった手続き面が中心です。
しかし、当事務所の役割は、単に手続きを代行することだけにあるとは考えていません。
当事務所が目指しているのは、外国人材の皆さんが、受け入れ企業の一員として、そして日本社会の一員として、安心して、意欲を持って活躍し続けられる環境づくりをサポートすることです。その実現のためには、書類上の手続きだけでなく、実際に日本で生活し、働く上での基盤となる「円滑なコミュニケーション」が、何よりも重要だと考えています。
外国人従業員の方々が、日本語での意思疎通をスムーズに行えるようになることは、企業にとって以下のような、非常に大きなメリットに繋がります。
- 外国人従業員の定着率向上:職場での指示が理解でき、同僚とコミュニケーションが取れるようになると、従業員の孤独感やストレスは大きく軽減されます。職場への満足度が高まり、結果として「長く働きたい」という意欲に繋がり、早期離職の防止に貢献します。
- 生産性の向上と労務リスクの軽減:正確な業務指示の理解は、ミスの削減や生産性の向上に直結します。また、安全衛生に関するルールや、日本の労働慣行(時間管理、報告・連絡・相談など)への理解が深まることで、労働災害や労務上のトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。
- 在留資格の維持・変更への備え:特定技能などの一部の在留資格においては、業務や生活に必要な日本語能力が求められたり、試験が課されたりする場合があります。日頃から基礎的な日本語力を養っておくことは、将来的な在留資格の更新や変更手続きをスムーズに進める上でもプラスに働く可能性があります。
このように、外国人従業員の日本語能力の向上は、単に従業員個人のためだけでなく、企業の持続的な成長と安定した組織運営にとっても、非常に重要な要素なのです。
だからこそ当行政書士事務所は、在留資格に関する専門的なサポートと併せて、外国人従業員の皆さんが日本での生活や仕事によりスムーズに適応していくための支援、その効果的な手段の一つとして、質の高い無料教材である『いろどり』の活用を、自信を持っておすすめしたいのです。
まとめ
今回は、外国人従業員の日本語教育を進める上で、非常におすすめな無料オンライン教材『いろどり 生活の日本語』について、その内容、メリット、そして企業での具体的な活用アイデアをご紹介しました。
『いろどり』は、
- 国際交流基金が開発した信頼性の高い教材であること
- 日本での「生活」と「仕事」に直結する実践的な日本語力が身につくこと
- 【完全無料】で利用でき、コスト負担なく始められること
- 従業員のレベルに合わせて段階的に学習を進められること
など、多くのメリットを持つ、企業の日本語教育のスタートに最適なツールです。
「外国人従業員とのコミュニケーションをもっと円滑にしたい」
「日本語教育を始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない」
もし、このように感じていらっしゃる企業のご担当者様がいらっしゃいましたら、まずは一度、この『いろどり』の公式サイトをご覧になり、教材を試してみてはいかがでしょうか。コストをかけずに、効果的な日本語教育の第一歩を踏み出すための、素晴らしいきっかけとなるはずです。
日本語教育のプロでもある行政書士が、貴社を力強くサポートします!
そして、「『いろどり』を使って、具体的にどうやって社内教育を進めればいいの?」「従業員のレベルに合った学習計画を立てるのを手伝ってほしい」「日本語だけでなく、特定技能の試験対策についても相談したい」…など、より踏み込んだサポートが必要だと感じられたら、ぜひ当事務所にご相談ください。
実は、当事務所の代表行政書士は、入管業務の専門家であると同時に、日本語教師としての資格と豊富な指導経験も持ち合わせております。
そのため、在留資格の申請・管理といった法的なお手続きのサポートはもちろんのこと、
- 効果的な日本語学習の進め方に関するアドバイス
- 従業員のレベルや業務内容に合わせた『いろどり』活用プランのご提案
- 特定技能試験(日本語・技能)の概要や対策に関する情報提供
といった、日本語教育の専門的な知見に基づいたサポートもご提供できるのが、当事務所ならではの強みです。
さらに当事務所では、通常の在留資格関連のご相談やアドバイスに加え、こうした日本語教育や特定技能試験に関する情報提供・相談対応をパッケージ化した、企業様向けのサブスクリプションサービス『NihongoPlus』も展開しております。外国人材の「受け入れ」から「育成」、そして「定着」まで、貴社の状況に合わせて、継続的かつ包括的にサポートさせていただきます。
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